神奈川かもめ演劇祭

第2回 神奈川かもめ短編演劇祭
2017年 3月2日(木)〜3月5日(日)
KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ

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第2回 神奈川かもめ短編演劇祭上演短編戯曲募集 上演戯曲決定

上演作「あしたのこと」工藤 舞

※赤澤ムック演出により、神奈川かもめ短編演劇祭にて上演されます。
上演日時、出演者等の詳細は、当オフィシャルウェブサイトにて発表いたします。

・最終選考
[日時]2016年1月13日(金)
[会場]神奈川県立青少年センター 第2研修室
[最終選考委員]赤澤ムック、丸尾 聡、横内謙介

・最終候補作品
『ぞめく母』木村和博
『腰ひもと新聞』今井夢子
『東雲のストライキ(短編)』下川志乃ぶ
『あしたのこと』工藤 舞
『さい果てより、』コタカトモ子
『差出人不明』美崎理恵
『米屋は無事か』伊地知克介

[二次選考委員]
織田裕之、河田唱子、笹浦暢大、坪井俊樹、中山朋文、西尾知夏、保科義久、丸尾 聡、
緑慎一郎






◯選考経過

選考経過1

選考経過2


 日本全国から応募のあった108作品を、一次選考で1作品必ず2名以上が読むようにし、かもめ短編演劇祭実行委員9名が選考にあたった。担当作品に、各々の審査員が一人で3つの印◯△☆をつけた。◯は良いと思った作品、△は次点、☆は大化けしそう、可能性がありそうなので他の人にも読んで欲しい。
 結果、印のついた25作品が二次審査に回った。実行委員会外部の選考者を加えた9名が持ち点3点で投票し、上位4作品は決定。次位には3作品が同点で並ぶこととなった。最終候補作は5作品、同点で並んだ場合も6作品としていたので、その3作品でさらに決選投票を行ったが、またしても同点。甲乙つけがたく、最終候補に7作品を残すこととなった。

 そして、戯曲に与えられる賞ではなく、演劇祭で上演されるにふさわしい上演戯曲を決めること、上演に際して書き直しを相談することがある、ということは応募の前提になっていることを踏まえ、最終選考が行われた。最終選考は、横内謙介、赤澤ムック、丸尾聡が一同に介し、3時間近くにわたり話し合いを持った。


 『ぞめく母』(木村和博)について赤澤から「井上ひさしの化粧を思い出す。母親の哀れな執着。独特な台詞回しが耳に気持ちがいい。他の作品と比べ説明できない。」と早くも強く押す声があった。丸尾も「娘と母親の哀しみが台詞の間に浮かび上がる。読んでいて気持ちが動かされた。」横内は「娘がどうにも見えてこないのが難しい。老婆に対してどう思っているか、それを戯曲として言葉で書かなくてはいけないのではないか、娘の一人台詞が重要な気がする。痴呆の母親だから会話は成立しない。だからこそ重要。」 

 『腰ひもと新聞』(今井夢子)は、横内「惜しい。面白い素材だが説明に追われている。もっとサスペンスになるし、もっとハッとなるはず。男が単なる聞き役。男にアクションがあれば。例えば阿部サダと寝てみたいとか。」赤澤「説明に追われている。手垢のついた題材をどうするか。男の様子が変だというところからはじまり、それは女が阿部サダだったからとわかってくる流れにするなど。最後、男がどこへ行くのかわからない。」丸尾「男も女もここで何を求めているのか、それがわからない。事件を起こした後、逮捕されるまでの阿部サダの時間をもっと感じたかった。」

 『東雲のストライキ(短編)』(下川志及ぶ)は、夫婦の関係について「リアルな会話劇の様相でありながら、定年を迎える年代の夫婦の会話としてリアルさに今ひとつ欠けるのではないか。」「最初から夫婦の仲が良いと感じ、話が展開しない。」「ハシビロコウという動かない鳥という素材は面白いが活かしきれていない。」という声がほぼ3人から同様にあった。

 『あしたのこと』(工藤舞)は、横内「おもしろい。会話で過去現在未来が語られる。今現在舞台に流れている時間も動いていきながら、過去が浮き上がって、その先、未来につながっている。『なに、戦争なんかしてんだよ』など台詞もリアル。20分を人物二人の会話で場面転換なく緻密に組み立てている。」赤澤からも「ほぼ一緒」という声。丸尾は「今の若者達のリアリティ。その中で現実にありそうな戦争への向き合い方が、ホラーでありサスペンスの要素も持ちながら、人が人を殺すとはなにか?まで広がる可能性を秘めている。」 

 『さい果てより、』(コタカトモ子)は、丸尾「作者は、ある災害後の世界?の中で、現実から逃避する2人を描くことによって、人生や命や生活の無常感のようなものを描こうとしたのかもしれないが、書かれなさすぎて、想像する余地も少なく思える。」赤澤「冒頭ト書に民家の玄関の映像、とあるが、実際にその家に出入り場面もあり、上演に際しては選択肢を狭めているのではないか。」

 『差出人不明』(美崎理恵)について、横内「実に惜しい。残念。郵便局員とおっさんの関係がすごくおもしろいだけに、二人の会話だけでもっていけたら。息子たちは出さなくても書けるはず」赤澤「わたしが書き直したい。」丸尾「作家ならだれでも、このアイデアが出た時点で『できた!』と思う秀逸なアイデア。短編演劇のスタンダードな佳作になる可能性があるが、決定的に構成を誤っている。」

 『米屋は無事か』(伊地知克介)赤澤は「何故米を守るのか、オタクだからでは弱い。」横内は「面白い。テンポもある。しかし、これは戯曲だろうか。やはり朗読劇だろう。たとえば米屋が津波に襲われつつ米を運ぶときの米屋の「肉体」こそ演劇の醍醐味ではないか。コメじゃねえだろう、命だろうと思ってしまう。」丸尾「面白いが、オタクとか自殺志願者とか、実際の舞台にすると考えどころであるところからさらりと身をかわしている感じ。やるのであれば、もっともっと最初から寓話的にすべき。」

 各作品についてひと通り感想を出したところで、最終候補として2本をそれぞれが推す投票を試みた。
結果、『ぞめく母』に2票、『あしたのこと』には全員が入れて3票、『差出人不明』1票となった。

 『差出人不明』に関しては、赤澤からは「横内さんと違ってわたしは、息子に最後帰ってきて欲しい。高速代のほうが切手代より安かった…とか」など、具体的な改稿のアイデアも語られたが、上演の場合は大きな書き直しが必須ということで、ぜひ改稿して何らかの形で上演してほしいという大きな声がありつつ、ここで他2本に絞られた。

 『ぞめく母』に関しては横内からさらに「実態としてのダイアローグになってないのでは。ぼけちゃった以上、ぼけに法則を見出すのは間違いなのではないか。なんでもありになってしまう。ボケに何かが見えるというのは、見る方の勝手ではないか。何も出てこない、会話にならない、わからないもどかしさが必要ではないか。となれば、もう少し母と娘のドラマが必要ではないか。ひとりごとになっている。ダイアローグであるべきではないか。目の前で芝居を起こして欲しい。」との意見あり。
 赤澤「これだけおかしくなっている母親に、娘がただただ付き合う、ということに、呪われてる女性たちの情念を感じる。娘の演技次第でいくらでもリアルに描けそう。」丸尾「かなり惹かれる戯曲であることは間違いないが、やはり最初と最後の男の存在は気になる、というか異物である感あり。」
 丸尾は『あしたのこと』について「実に綿密で緻密な稽古と実に上手な俳優が必要だが、そのぐらいこの作者の要求は高く、水準の高い戯曲」とし、横内は「20分の勝負。暗転とか場面転換なくやっている。20分人が語り合える力が、作家にも、人物にもないのではないかと感じることが多い中、たいへんすぐれている」
演出を務める赤澤ムックも賛同し、上演作品は『あしたのこと』に決定した。

 ほぼ一ヶ月という短い告知期間にもかかわらず、日本全国から108本の公募を頂いた。予想を上回るエントリーだった。新作・旧作問わずとしたことはもちろんだが、全国の多くの地域で短編演劇祭の開催が根付いてきたこと、そしてかもめ短編演劇祭を始めとする神奈川県の演劇への取り組みへの認知、そしてないよりも「上演台本」を求められたことに、多くの劇作家や、劇作家志望の皆さんが刺激された結果だと思う。今年の「選抜戯曲チーム」による公演が成功し、また来年、さらに発展した形で「上演短編戯曲の公募」を行うことができたら、それに勝る喜びはない。

(文責 丸尾聡)





◯選評

横内謙介氏

工藤舞さんの『あしたのこと』は傑作だと思った。場面転換無し、登場人物の出入り無し。シンプルな構造の中、自然な対話だけで過去と現在と未来をきっちり描いている。短編の醍醐味がある。私の次点は『差出人不明』、オー・ヘンリーの短編にも通じる人情劇。ただし十五分の間に何度も日替わりがあり、別空間まで出てくる。『あしたのこと』のように、老大工と郵便局員だけの会話で、遠く離れた息子とのドラマを描き切って欲しかった。ワンシチュエーションの勝負としては『腰ひもと新聞』にも好感を持つが独り言的なセリフに重きがあり、人物の動きが鈍く、対話が弾まないのが残念。小間使いがインタビュアーの役割に収まりきっているのが原因ではないか。
最終候補作を読んで総じて感じたことは、場面転換が多すぎること。対話でなく、独白でドラマが支えられがちなこと。十五分に何かをまとめようとしたら、そうなるのかもしれないが、短編は鮮やかに切り取る勝負なのではないか、と思う。



赤澤ムック氏

戯曲の選考をするたび、『演劇とは戯曲とは劇的空間とはナンダロウ』と考えさせられる。創作に規則はなく自由があるけれど、心を揺さぶるためにはやはり劇作家の企てが必要だ。一瞬の閃きや天性のセンスを拡大するための技術が。私が個人的に演出するなら『ぞめく母』を推しきっただろうが、劇作家の技術という点で『明日のこと』は、七作品の中で頭一つ秀でていた。最終選考委員が全員一致で決まった最優秀作品を演出するのも難儀なものだ。これが面白くなきゃ私の腕が悪いってなだけの話だからだ。



丸尾聡氏

最終選考では「あしたのこと」「ぞめく母」に強く惹かれた。「差出人不明」は可能性を秘めていたが構成に難があった。審査員全員がその水準の高さに票を入れた「あしたのこと」で決まったことを素直に喜びたい。KAATの舞台での上演がほんとうに楽しみだ。そして「ぞめく母」もその新たな上演を待ちたい。今回の応募全作品の中で最も、自分で演出してみたい作品だった。108本、応募のすべての作品に目を通した。まず感謝したい。応募していただいたこと、そして、ああ、演劇にはこんなにもたくさんの可能性があると改めて感じさせてくれたことに。なお、二次選考に残った作品にも相当おもしろい作品が多くあり、このことはぜひ書いておきたい。





◯一次選考通過作品(25作品・応募戯曲到着順)

「あーやと僕」伊藤悠子
「きみとからっぽ」村野玲子
「イエローライン」くるみざわしん
「レクイエム」添谷泰一
「ただの犬、動き出す馬」高石紗和子
「ぞめく母」木村和博
「槍隊FORDIE(やりたいほうだい)」行正忠義
「エンドロール」又吉知行
「祈りと願い」髙橋晃央
「少年少女」深井邦彦
「腰ひもと新聞」今井夢子
「おやすみなさい」大池容子
「東雲のストライキ(短編)」下川志乃ぶ
「蝶蝶雲」春雨パリ子
「晴れ間」南出謙吾
「絶対恋愛王政」坂本 鈴
「靴下の王国」黒田勇樹
「あしたのこと」工藤 舞
「さい果てより、」コタカトモ子
「わたしのイスラム」南 慎介
「海鬼灯―うみほおずきー」釘本 光
「差出人不明」美崎理恵
「米屋は無事か」伊地知克介
「桜 (咲良を待ちながら)」四方田直樹
「押しかけ女房」吉田小夏


▼チケット料金
(前売・当日共通/全指定席)


一般:3,000円

U24(24歳以下) :1,500円

Welcome横浜割:2,000円
*神奈川県、東京都、千葉県、埼玉県を除く地域からお越しの場合

公開審査会・表彰式 [一般・U24共通]:1,000円

▼チケット取扱

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神奈川かもめ短編演劇祭実行委員会事務局

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